「多様なミクロ市場」を形づくるものの第一は、一見飽和しているように見える既存市場に対して何らかの「不(不安・不満・不便)」をもっている人である。したがって、この「不」を見つけ出し、「不」の解消を具体的な商品・サービスに転換することが、新たな事業機会を生み出す。
たとえば、女性専用フィットネスクラブ「カーブス」は、創業者が従来型のフィットネス事業を手がけていた時にフィットネスクラブに不満をもつ中高年女性の声を聴きつけて立ち上げた事業である。
また、話し相手サービス「ホーム・インステッド・シニア・ケア」も、家の清掃会社に勤めていた創業者が、顧客の自宅で清掃以外の話し相手や生活周りの支援を何度も求められたことから立ち上げた事業である。
さらに、腰痛・首痛解消のワンストップ・ショップ「リラックス・ザ・バック」は、前身のオフィス家具店時代に、家具の供給先である多くのIT企業から腰痛・首痛対策を求められたことから立ち上げた事業である。
NTTドコモのらくらくフォンは、若者向けの携帯電話が使いにくいため、その不便さをことこまかに解消してベストセラーになった商品である。
一つの新しい商品・サービス市場が立ち上がると、その商品・サービスに満足しない顧客が必ず出現する。これは、前述のとおり、多様な価値観をもつシニア・団塊世代は、限られた商品・サービスではカバーしきれない多様なニーズをもっているからである。
最も身近な自分の顧客が、どのような「不」を抱えているかに気がつかないことは案外多い。気がつくか否かは、担当者の心の持ちよう次第である。事業機会とは、自分自身の中にある。